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村下孝蔵さんの名曲【春雨】を解説&鑑賞!歌詞の雅な世界観を味わう

村下孝蔵・春雨アイキャッチ
おうじゃ(管理人)
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ようこそいらっしゃいました!

当記事では、前回解説したデビューシングル「月あかり」および「松山行フェリー」に引き続き、セカンドシングルA面「春雨」(1981年1月21日発売)を解説し、鑑賞してまいります。

村下さんに出会った方ならば比較的早い段階で耳にする楽曲ですね。

内容的にはフォークソング調なのに、隠せない村下テイストがにじみ出ているのが面白いところです。

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参考:村下孝蔵さん楽曲解説特集🎸

当サイトは非公式のファンサイトであり、ファンの皆様がご自身なりに楽しめる場を提供することを目的としています。同時に、村下孝蔵さんの全楽曲、とりわけその歌詞の意味や世界観を解説することを主たる目標に掲げています。

⇒村下孝蔵さん楽曲解説・歌詞解題についての詳しい「考え方」はこちら

ご興味のある方は、以下の記事もお楽しみいただけるはずと自負しておりますので、お時間のあるときにどうぞ遊びにいらしてくださいませ。

↓↓↓

\ 計13曲!隠れた名曲をランキング!/

村下孝蔵さんの名曲【春雨】を解説&鑑賞!歌詞の雅な世界観を味わう
村下孝蔵さんの名曲【春雨】を解説&鑑賞!歌詞の雅な世界観を味わう

(解説楽曲例:ロマンスカー、だめですか、いいなずけ、北斗七星、夢からさめたらなど)

⇒「踊り子」など代表曲はこちら

もちろん個人的な解釈であり、味わい方ですので、皆様が村下さんの楽曲を鑑賞する際のひとつの参考となれたならば幸いです。

それでは、早速「春雨」の解説に入っていきましょう!

下部に歌詞全文を用意しましたので、適宜ご利用くださいね。

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🎵 当記事の著者について

当サイト管理人

新おうじゃ

名前 / Name  
おうじゃ 

職業 / Occupation
生来詩人、お米賞味マイスター、歌詞解説・鑑賞家、福話術者(家庭教師も兼業)

実績 / Achievements
生まれたときから詩的な人生を送っています。村下孝蔵さんに出逢ってから、その楽曲を肌身離さず心に持ち歩いては味わってきました。
姉妹サイトではシティポップの楽曲解説や、自身の生活の中で頂いたお米の銘柄の特徴をレビューしつつ【福話術】と題したあらゆる人の心に寄り添う記事を執筆、分野を開拓しています。

(姉妹サイト「おうじゃの福眼」プロフィールページへ遷移します)

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春雨『何処へ』所収

心を編んだセーター
渡す事もできず
一人 部屋で
解く 糸に想い出を辿りながら

解題

1981年1月に発売のシングルですので、村下さん27歳のときの作品ですね。

年齢の割にずいぶんと雅な仕上がりの本楽曲ですが、女性目線から男性に対して想いを語っているというのが基本的な情景です。

男性の心変わりに苦悩する女性

二人はお付き合いをしていたのですが、楽曲全体の展開からするとおそらく男性の心変わりで、関係は解消してしまいました。

女性はまさかこの関係が終わるなどと思っていなかったので、日々愛する「心を編んだセーター」を男性のために作っていたのですね。

しかし、男性はじょじょに女性の元を離れることが増え、誕生日など記念日も一緒に過ごさなくなりました。

女性は編んだセーターを「渡す事もできず」、「一人 部屋で」誰も着ることのなかったセーターを「解く 糸に」、二人で過ごした日々の「想い出を辿りながら」寂しく暮らしています。

街角の小さな部屋で女性が一人暮らすというイメージは、隠れた名曲ランキングで掲げた「交差点」などとも通じる世界観でしょうか。

あの人が好きだった 悲しい恋の歌
いつも 一人 聞いた
古いレコードに傷をつけた

二人はお別れを迎えたばかりではなく、おそらく実際の年月はかなり経過しているのかもしれません。

女性は男性が「好きだった 悲しい恋の歌」を、当時は一緒に楽しく聴いていたのを、今度は自分の身になぞらえて聴いています

あの頃も、男性が好きだという理由で、自分もその良さを知りたいと願って「いつも 一人 聞いた」ものでした。

その「古いレコードに」女性は爪で「傷をつけた」のですね。

この部分は男性との決別を選んだ女性のふるまいとも読めますし、今でも悲しく悔しい気持ちの表れともいえるでしょう。

くり返す声が 今も谺のように
心の中で 廻り続ける

傷ついたレコードが悲しい歌の同じ箇所を何度も「くり返す声」が、男性から別れ際に言われた言葉と同じく「今も谺のように 心の中で 廻り続け」ます。

男性からどんな言葉を掛けられたのかは不明ですけれど、のちに男性が都会に出て変わったという内容がありますから、平たく言うと女性は飽きられたのでしょうか。

一途な女性の心を男性が理解できず、離れてしまうということ。これもまた村下さんの楽曲でよくみられるところです。

変わらない女性の想い

電話の度に サヨナラ 言ったのに
どうして最後は黙っていたの
悲しすぎるわ

女性は少し律儀なタイプなのかもしれません

男性と「電話の度に」、受話器を置く前にはまた話すことを約束した後、きちんとお互い「サヨナラ」を言うのでした。

けれど、毎度サヨナラを「言ったのに」も関わらず「どうして」お別れする「最後は黙っていたの」か、女性は「悲しすぎる」と振り返ります。

男性の気持ちはしばらく前から女性を離れていたのでしょう。

女性の想いに付き合うような形で、通例になっている電話でのやり取りもしていましたが、そのあり方にも疑問を感じ始めていたのです。

後半の歌詞を見ると分かりますが、二人は基本的に電話で話すしか交流する手段がないような、物理的にも離れた距離で生活していたのですね。

あの人を変えた都会
すべて憎みたいわ
灯り消して壁にもたれ
木枯しは愛を枯らす

素直な読み方としては、女性を残して男性が都会へ出ていったというものがよいでしょう。

都会にはこれまで触れたことのないような物事や人々が存在します。

その特有の魅力で男性を「変えた」きらびやかな「都会」を、女性は「すべて憎みたい」と思います。

女性自身は比較して平凡な街で過ごすしか手段がなく、部屋で「灯り消して壁にもたれ」、聞こえてくる音に寂しく耳をすませます。

冷たく吹きすさぶ「木枯しは」男性へ向けて女性が温かく育んでいた「愛を枯らす」ほどです。

あるいは、慣れない都会の寒さで服の中にも入り込む木枯しが、男性から女性への愛をかき消したとみることもできそうです。

せめて もう少しだけ
知らずにいたかった
春の雨に 頬を濡らし
涙を隠したいから

女性は「せめて もう少しだけ 知らずにいたかった」とつぶやきます。

ここで女性が知ったのは、きっと男性に新しいお相手ができたこと、または少なくとも女性とお別れする男性の意思が確定的だったことでしょう

真冬へ季節が進んでいき、これからもっと寒くなるこの時期に、女性は知ってしまいました。

せめて温かさが芽吹く「春の雨に 頬を濡らし」、心まで冷やす「涙を隠したい」のに、女性が一人流す涙は冬の気にいっそう冷たく頬を伝います

自分自身に問う女性

遠く離れた事が いけなかったの
それとも 夢が 私を捨てたの

実際の距離が離れると、心の距離も離れていきがちだとよく言われます。

女性は男性と「遠く離れた事が いけなかったの」かと自問し、一方で、男性の「夢が 私を捨てたの」だろうかとも考えます。

この「夢」を都会で身を立てることだととらえると、図らずも前回解説した「松山行フェリー」と裏返しの情景であることも見えてきます。

夢を追いかける男性が、待ち続ける女性を捨ててしまう……ひとつの劇やドラマのようですね。

「松山行きフェリー」は、夢を追う男性のもとから女性が決意して離れていくという展開です。

「夢」をもっと抽象的なものと読む解釈としては、たとえば女性が思い描いていた男性との理想の未来というようなものでしょうか。

それが破れてしまったことを、夢によって捨てられたと表現しているわけですね。

もう誰も 私 見ないでほしい
二度と会わないわ
いつかこの街に帰って来ても

あからさまな理解としては、男性に捨てられるような「私」を誰にも見られたくない、恥ずかしく思っている、というようなとらえ方ができるでしょうか。

しかし、それでは少々女性の我が強い印象につながりかねません。

ですので、ここではこう読み取りましょう。

あれほどに愛し、愛し合っていたはずの男性さえ、場所が変われば心も変わってしまう

だから、今後は「もう誰も」、よもや愛し愛するという関係を念頭に「私」のことを「見ないでほしい」、あの男性とだって「二度と会わない」。

万が一男性が「いつかこの街に帰って来ても」、絶対に会わないわ……

と女性が宣言しているのだと。

このように宣言することまでも必要なのは、もちろん女性が男性に対する想いをいまだ胸に抱えているからですね。

今日も女性は部屋でひとり過ごす

電話の度に サヨナラ 言ったのに
どうして最後は黙っていたの
悲しすぎるわ

最後に電話をしたときの様子が思い浮かびます。

そのときはいつものようにお互い「サヨナラ」を言ったのに、その後男性からお別れの意思を伝える連絡は手紙で届きました。

おそらく転居したとの連絡で、電話番号も書いていなかったのでしょう。

手紙に何度語り掛けても答えはありません。

最後の言葉を男性自身の声で聞くことができなかったなんて「悲しすぎるわ」……

女性は春雨を待ちながら、同じ声をくり返すレコードとともに部屋でたたずみます。

お互いに進む道を持ち、選択をしていくなかですれ違った男女の間の恋愛模様を雅に歌い上げた名曲といえます。

聴きどころ

全体として女性の気持ちを情景に合わせて表現している点は見事です。

バイオリンも上手に土台のイメージづくりをしていますし、ギターのアルペジオも女性が過去を振り返っている様子をうまく表していると思います。

二つ目のサビの「見ないで~」の村下さんの声の伸び、感情の乗り方も素敵です。

コンサートではバイオリンがやはり大きな役割を担っていて、村下さんの声とややかぶってしまう場面も見られました。

ぽんぽこ」に近い現象ですけど、その辺りは愛嬌ですね♪

管理人の感想

松山行きフェリーとこれほど似た設定になっているとは思いませんでした。

今回解説をしてみて改めて気付きました。

管理人が村下さんを聴き始めた当初も、けっこう本楽曲はヘビロテだったと思います。

曲調はさほどポップじゃないし、物語の展開的にもそこまで激しくはないのですけど、なんだか聴いてしまうのですよね~。

誰しも感じたことがある、少なくともイメージができる心の動きを描いているからでしょうか。

それでは、皆さん自身の解釈も加えつつ「春雨」をもっと楽しんでくださいね!

春雨【歌詞全文】

心を編んだセーター
渡す事もできず
一人 部屋で
解く 糸に想い出を辿りながら

あの人が好きだった 悲しい恋の歌
いつも 一人 聞いた
古いレコードに傷をつけた

くり返す声が 今も谺のように
心の中で 廻り続ける
電話の度に サヨナラ 言ったのに
どうして最後は黙っていたの
悲しすぎるわ


あの人を変えた都会
すべて憎みたいわ
灯り消して壁にもたれ
木枯しは愛を枯らす

せめて もう少しだけ
知らずにいたかった
春の雨に 頬を濡らし
涙を隠したいから

遠く離れた事が いけなかったの
それとも 夢が 私を捨てたの
もう誰も 私 見ないでほしい
二度と会わないわ
いつかこの街に帰って来ても

電話の度に サヨナラ 言ったのに
どうして最後は黙っていたの
悲しすぎるわ 

(作詞・作曲:村下孝蔵ー1981年1月21日)

この歌詞全文の引用は「春雨」の魅力を解説するため、および閲覧者の方々の便宜のための必要によってなされたものです。

関連記事ーその他楽曲解説

最後に改めて、当サイトでこれまで村下孝蔵さんの楽曲を解説した記事を掲げておきます。

ぜひ、これからも村下孝蔵さんの世界観を楽しんでくださいね☆

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