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村下孝蔵さんの【似顔絵】歌詞の意味や世界観を徹底解説&鑑賞

村下孝蔵 似顔絵 アイキャッチ
おうじゃ(管理人)
(記事内にプロモーションを含む場合があります)



村下孝蔵さんを昔からご存知の方も、新たに出会った方も、ようこそいらっしゃいました!

当記事では、前回解説した「花れん」、すでに「隠れた名曲」記事で取り上げた8thシングル「夢のつづき」に引き続いて、同B面「似顔絵」を解説・鑑賞してまいります。

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参考:村下孝蔵さん楽曲解説特集🎸

当サイトは非公式のファンサイトであり、ファンの皆様がご自身なりに楽しめる場を提供することを目的としています。同時に、村下孝蔵さんの全楽曲、とりわけその歌詞の意味や世界観を解説することを主たる目標に掲げています。

⇒村下孝蔵さん楽曲解説・歌詞解題についての詳しい「考え方」はこちら

ご興味のある方は、以下の記事もお楽しみいただけるはずと自負しておりますので、お時間のあるときにどうぞ遊びにいらしてくださいませ。

↓↓↓

\ 計13曲!隠れた名曲をランキング!/

村下孝蔵さんの【似顔絵】歌詞の意味や世界観を徹底解説&鑑賞
村下孝蔵さんの【似顔絵】歌詞の意味や世界観を徹底解説&鑑賞

(解説楽曲例:ロマンスカー、だめですか、いいなずけ、北斗七星、夢からさめたらなど)

⇒「踊り子」など代表曲はこちら

もちろん個人的な解釈であり、味わい方ですので、皆様が村下さんの楽曲を鑑賞する際のひとつの参考となれたならば幸いです。

それでは、早速「似顔絵」の解説に入っていきましょう!

下部に歌詞全文を用意しましたので、適宜ご利用くださいね。

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🎵 当記事の著者について

当サイト管理人

新おうじゃ

名前 / Name  
おうじゃ 

職業 / Occupation
生来詩人、お米賞味マイスター、歌詞解説・鑑賞家、福話術者(家庭教師も兼業)

実績 / Achievements
生まれたときから詩的な人生を送っています。村下孝蔵さんに出逢ってから、その楽曲を肌身離さず心に持ち歩いては味わってきました。
姉妹サイトではシティポップの楽曲解説や、自身の生活の中で頂いたお米の銘柄の特徴をレビューしつつ【福話術】と題したあらゆる人の心に寄り添う記事を執筆、分野を開拓しています。

(姉妹サイト「おうじゃの福眼」プロフィールページへ遷移します)

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楽天ミュージック
『花ざかり』所収

“似顔絵”

⇒スタジオライブバージョン(1988年3月19日・YouTube・Hibiki Izunoさんのチャンネルより)

似ている人に会いました
笑いながら鼻をこするくせ

解題

誰かが左右に足踏みをしながら、身体も心も揺らしているようなイントロから始まる本楽曲。

ベースのスタンダードな、素朴ともいえそうな音が効果的に使われていますね。

基本的な情景としては、ある女性が、決して結ばれることのない男性とお付き合いした様子が描かれていると考えられます。

歌詞の後半部分からすると、男性はこの女性との交際にけじめをつけたけれど、女性にはそれができずに切なく苦しんでいるという感じでしょうか。

独白調であることを加味すると、可能性としては、以下で見ていく女性と男性の関わりは完全に女性の心の中だけの映像であるとも読めそうです。
男性のことをあまりに愛していたので、わずかでも似ている人を目にすると、昔のことを想い出してしまうというような……。

あるとき、心がすっきりと晴れないままに喫茶店で過ごしていた女性は、かの男性と「似ている人に会いました」。

女性はカップに添えた自分の手が震えるのを感じます。

あまり見ては失礼かもしれないと思いつつも、愛していた男性と同じ気配に女性は、客席の合間に置かれた観葉植物を透かして、その人の「笑いながら」人差し指で「鼻をこするくせ」を目にしてしまいます。

真面目になると照れながら
煙草をすぐ消してしまうくせ
みんな あなた

女性は周囲のお客たちが歓談する声が全く聞こえなくなりました。

厨房の音や、出入り口の開閉する音、人が歩く音、給仕さんが注文を取る声などが混ざり合って耳に届いているのに、向こうに見えるかの男性に似た人が「真面目にな」って「照れながら」笑う声だけが店内に響いています。

かつて自分の向かい側や、左側の席で並んで煙草を吸っていた男性の顔が女性のまぶたに浮かんできます。

現実にあちらに見える男の人も、真剣な話をするときには他のことはしないものだ、と言わんばかりに「煙草をすぐ消してしま」いました。

こういう「くせ」はまるっきり「みんな あなた」そのもの……。女性が見ている喫茶店の光景は、涙でどんどん曇っていきます。

いつも夢にみた
目覚めたらそばにいて
髪をなでてくれる

女性は自分が「いつも夢にみた」ことを想い出します。

いつの間にか心地よく眠ってしまった次の朝「目覚めたら」、男性がまるでこれからの人生をともに歩む相手のように優しくほほえんで「そばにいて」、寝ぐせのついた「髪を」とかすように「なでてくれる」。

男性の手は硬いですが、そのごつごつした手触りも女性は大好きでした。なぜなら、この瞬間、その手は女性だけに触れているから。

暖かい 手を抱いて
泣いている私に
さよならの言葉を下さい

そんな日が来ることはないことを知りつつ、街のとある一室で男性の「暖かい 手を」胸に引き寄せて「抱いて」、変えようのない二人の運命に「泣いている」自分の姿を、女性は目の当たりにします。 

女性が男性の手を抱いて泣くという場面が発生する前提がありうる、という描き方だと思いますので、現実に女性と男性はともに夜を過ごす仲なのだと解釈しています。

いつまで続けるのか、私はどのように身を振ったらよいのか、男性はどう思っているのか、女性はたくさんのことがこんぐらがってしまいます。

それならばいっそ……と、涙を流しつつ男性に「さよならの言葉を下さい」と願うのです。

愛したあなたがそばにいて
別の人の話をしてくれた

今度はまた別の機会に男性と逢ったときの様子でしょう。

女性が「愛した」男性がすぐ「そばにいて」、身体だけでなく心までも届きそうなのに、男性は「別の人の話を」女性に「してくれた」のです。

男性が話す様子は楽しそうだったのか、悲しそうだったのか、はっきりとは分かりません。

うなずきながら一人になると
鏡の中に語りかけてる
みんな 私

自分ではない誰かと男性が交際していたり、あるいは結婚さえしているのかもしれない状況で、女性は「うなずきながら」話を聴いてあげました。男性も女性のことを頼りにしている様子でいっぱい話してくれます。

けれど、その場を離れて自宅へ戻り「一人になると」、「鏡の中に」自分はどうしたらよいのだろうかと「語りかけてる」姿に女性は気付きます。

どういうわけか、男性との関係でこんな役回りになるのはいつも「みんな 私」です。

幸せそうに肩寄せる
街角の見知らぬ恋人

男性と逢った日か、何でもない他の日か、女性はふらりと街を歩きます。

そこで「幸せそうに」お互い「肩寄せる」ことで冷えた「街角」の温かさを味わっている「見知らぬ恋人」たちの様子に、女性の脚が固まります。

自分と男性は、決してあんな風に二人で歩くことはできない。

そればかりでなく、男性は(真意かどうか分からないとはいえ)他の誰かとああやって、今この街のどこかを歩いているかもしれない。

目の前がかすんで
もう前に進めない
さよならの言葉を下さい

日が暮れかかって、街灯や建物に明かりがともり始めました。

先ほどから女性の目には涙が浮かんであふれ「目の前が」きらきらと「かすんで」、その光景が美しいのか辛いのか、今の関係を望んでいるのかそうでないのか「もう」分からないほど「前に進めない」自分の姿を感じます。

女性は暗くなっていく空に願います。どうか、こんな私に「さよならの言葉を下さい」。

いつも夢にみた
目覚めたらそばにいて
髪をなでてくれる
暖かい 手を抱いて
泣いている私に
さよならの言葉を下さい

しかし、女性の心には何度も何度も「夢にみた」ことばかりが甦ってきます。

男性と結ばれ、その「暖かい 手を抱いて」、また一緒にまどろみの中へ落ちていく。

それから美味しい朝食か昼食をとって、時間があればあてもなくどこかへ出かけて、お互いに素敵な服でも選んで、何をするでもなく街を歩いて……。

そんなことが決してかなわないと知りつつ、この道を選んで「泣いている私に」、どうか誰か「さよならの言葉を下さい」……。

ここまでの解説では濁してきましたが、女性と男性は端的に「不倫」の関係にあると捉えると、比較的きれいに味わうことができそうです。
しかし、当記事ではもう少し歌詞そのものに「くっつき」ながら把握することを試みました。

聴きどころ

どこか夢の中の世界であるかのような音楽の雰囲気、村下さんが優しげにそれを歌い上げている様子などが聴きどころでしょうか。

すでにみたように、内容は十分にドロドロしたものだとも読むことができるのですが、それをやはり人間のひとつの美しい姿へと昇華させているのですよね。

最終盤で、この楽曲という世界の一幕がすっと終わるような引き具合で音楽が消えていくのも世界観をよく表現しています。

夢のつづき」のB面であることに照らすと、「似顔絵」の二人は順調だった時期も存在した(「このままと信じて」いられるような)とも捉えられそうなのですが、本楽曲の歌詞からしてやや難しいのですよね。

また「似顔絵」というタイトルは、絵画という非現実の世界においてだけ、二人が結ばれたそのお互いの顔を描くことができるといったイメージなのかもしれません。

管理人の感想

あれ……こんなに名曲でしたっけ……?? というのが今回解題をしてみての率直な感想でした。

ぱっと聴きではただ可愛らしい曲のような印象も持ちますが、その背後にどれほど女性のさまざまな気持ちが隠れているかというところに気が付くと、実に味わい深い楽曲へと変貌しました。

男性の気持ちが全然描かれていない点もポイントだと思います。

それでは、皆様もご自身なりの味わい方で「似顔絵」を楽しんでみてくださいね☆

似顔絵【歌詞全文】

似ている人に会いました
笑いながら鼻をこするくせ
真面目になると照れながら
煙草をすぐ消してしまうくせ
みんな あなた

いつも夢にみた
目覚めたらそばにいて
髪をなでてくれる
暖かい 手を抱いて
泣いている私に
さよならの言葉を下さい


愛したあなたがそばにいて
別の人の話をしてくれた
うなずきながら一人になると
鏡の中に語りかけてる
みんな 私

幸せそうに肩寄せる
街角の見知らぬ恋人
目の前がかすんで
もう前に進めない
さよならの言葉を下さい

いつも夢にみた
目覚めたらそばにいて
髪をなでてくれる
暖かい 手を抱いて
泣いている私に
さよならの言葉を下さい

(作詞・作曲:村下孝蔵ー1984年9月21日 編曲:水谷公生)

この歌詞全文の引用は「似顔絵」の魅力を解説するため、および閲覧者の方々の便宜のための必要によってなされたものです。

関連記事ーその他村下さん楽曲解説・シティポップ等

ここまでお読みくださってありがとうございました!

村下孝蔵さんには他にも素敵な楽曲がたくさんあります。

当サイトでこれまで取り上げた楽曲を改めて掲げておきますので、お時間のあるときにぜひ遊びにいらしてくださいね

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