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村下孝蔵さんの名傷心曲【歌人】歌詞の意味や世界観を徹底解説&鑑賞!

村下孝蔵さん・歌人
おうじゃ(管理人)
(記事内にプロモーションを含む場合があります)


当記事では、村下孝蔵さんの名曲・「歌人」を解説・鑑賞してまいります。

本楽曲はシングル曲「春雨」のB面として発表されました。恋に破れた男性の姿を丹念に描いた楽曲の味わいはどのようなところにあるのでしょうか。

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参考:当サイトの村下孝蔵さん特集🎸

当サイトは非公式のファンサイトであり、ファンの皆様がご自身なりに楽しめる場を提供することを目的としています。同時に、村下孝蔵さんの全楽曲、とりわけその歌詞の意味や世界観を解説することを主たる目標に掲げています。

⇒村下孝蔵さん楽曲解説・歌詞解題についての詳しい「考え方」はこちら

ご興味のある方は、以下の記事もお楽しみいただけるはずと自負しておりますので、お時間のあるときにどうぞ遊びにいらしてくださいませ。

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村下孝蔵さんの名傷心曲【歌人】歌詞の意味や世界観を徹底解説&鑑賞!
村下孝蔵さんの名傷心曲【歌人】歌詞の意味や世界観を徹底解説&鑑賞!

(解説楽曲例:ロマンスカー、だめですか、いいなずけ、北斗七星、夢からさめたらなど)

⇒「踊り子」など代表曲はこちら

もちろん個人的な解釈であり、味わい方ですので、皆様が村下さんの楽曲を鑑賞する際のひとつの参考となれたならば幸いです。

それでは、早速「歌人」の解説に入っていきましょう!

下部に歌詞全文を用意しましたので、適宜ご利用くださいね。

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🎵 当記事の著者について

当サイト管理人

新おうじゃ

名前 / Name  
おうじゃ 

職業 / Occupation
生来詩人、お米賞味マイスター、歌詞解説・鑑賞家、福話術者(家庭教師も兼業)

実績 / Achievements
生まれたときから詩的な人生を送っています。村下孝蔵さんに出逢ってから、その楽曲を肌身離さず心に持ち歩いては味わってきました。
姉妹サイトではシティポップの楽曲解説や、自身の生活の中で頂いたお米の銘柄の特徴をレビューしつつ【福話術】と題したあらゆる人の心に寄り添う記事を執筆、分野を開拓しています。

(姉妹サイト「おうじゃの福眼」プロフィールページへ遷移します)

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歌人『何処へ』所収

早いもんだね 時が経つのは
別れて半年過ぎた
今も時々 あの店の前
通ればお前が居そうで

解題

赤提灯が目に浮かんできそうなイントロから始まる本楽曲。

基本的な場面設定は、女性とお別れした男性が、いまだに女性のことを忘れることができずに嘆いているというものです。

後ほどお酒を飲む描写が出てきますので、本楽曲が展開するメインの場所は酒場です。

音楽の調子からして、大衆居酒屋、それも昔ながらのなんとも哀愁漂う飲み屋さんなのでしょう。

早くも半年が過ぎたことに驚く男性

男性は女性と過ごした日々を思い返しながら「早いもんだね 時が経つのは」と自分に語り掛けます。

二人がお別れしてから、もう「半年すぎ」ていました。

男性も女性も今や別の場所で、別の暮らしをしていますが、男性は仕事の帰り道に「今も時々」、女性と通った「あの店の前」の道を選んで歩きます。

その場所を「通れば」女性が「いそうで」、男性は当時を思い出して辛くなってしまうのも承知の上でそこを通ります。

大通りのにぎやかな電飾とは裏腹に、淡くにじんだような灯りがぽつぽつと照らす細い路地にこの店はあったのでしょう。

おかしいもんさ 変わらぬ癖
こんな淋しい夜は
お前の代わり 夜風誘って
今夜もあの日の店

ふらりと路地へ入った男性の脚は、知らず知らず店へと向かっています。

男性のつぶやきは続きます「おかしいもんさ 変わらぬ癖」……。

かつて、二人は仕事が終わったあと、この店で待ち合わせることもあったのでしょうか。

喧騒を抜けてひとつ通りを入れば、愛する女性と穏やかな時間を過ごすことのできる店がある。

男性はそれを頼りに生きてきたところもあるのですね。

しかし、もはや女性がそこで待っていることがないと分かっている「こんな淋しい夜は」、女性の「代わり」に冷えた「夜風誘って」、男性は二人幸せに過ごした「あの日の店」を訪れます。

いくら飲んでも酔えない心
背中に隠しては
歌えよ ほら 歌うよ
お前の好きな歌

酒場の主人は男性の顔を知っているのかもしれません。

女性が姿を見せなくなったことも知っているでしょうから、主人は男性の注文するままにお酒を出し続けます。

酔えない心に酒をそそぐ

記憶を洗い流すように男性は酒をあおります。

頭はだんだん楽しくなってきて、居合わせたお客さんなどとも談笑できますが「いくら飲んでも酔えない心」は常に男性につきまとっています。

その心を淋しい「背中に隠しては」、男性は酔いに任せて歌います。

主人や他のお客たちも手拍子で男性が歌うのをはやし立ててくれるのに、男性は自分で「歌えよ ほら 歌うよ」と自分を鼓舞しなければ言葉を継ぐことができませんでした。

こんなに酔っぱらったときには、いつもせがまれた女性の「好きな歌」しか口から出てこないのに、男性は悲しすぎてうまく歌えません。

自分の歌う声や、周りのはやす声も遠く聞こえたことでしょう。

そんなお前を愛した4年
余りに長すぎたのか
子供のような心変わりは
今も俺に出来はしない

また別の日かもしれませんし、同じ日に一度歌を終えたあとかもしれません。

「そんなお前を愛した4年」間は、自分にとって「余りに長すぎたの」だろうか……、男性は独り言ちます。

男性は自分のできる限りの愛情を女性にささげたつもりでした。女性もその愛情を受け止めてくれていたはずです。

しかも、4年という時間が二人の気持ちを変化させる直接の要因だったとも読み取りにくいと思います。

二人の別れの原因は不安定な生活か

というのも「子供のような心変わり」を女性がしたけれども、「俺に出来はしない」と男性が語るからです。

何がその心変わりの原因だったのかは定かではありませんが、『松山行フェリー』の流れが本楽曲まで継続しているとすれば、やはり男性の不安定な生活でしょうか。

当時の一般的な感覚なのでしょうか、一定以上の期間お付き合いが続けば、お互いに結婚を考えるようになる。

でも、男性は夢を追いながら安定しない暮らしぶりを続けているので、女性はひとり悩みながら過ごしていたけれど、けじめをつけて別な道を選択したということなのでしょうか。

管理人個人としては、いくつになったら結婚せねば、というような考え方はあまり望ましくないと思っていますが、ひとまずその筋で解釈してみました。
この点は現代では大きく変化している価値観のひとつだと感じます。

すなわち、男性が気付かない間にも、女性は長く苦しんでいたということなのですね。

その結果としての選択を「子供のような心変わり」と認識する男性の精神的なあり方などにも焦点が当てられているのかもしれません。

他方で、単純に女性が新しい男を見つけて乗り換えたと読む場合は、まぁ……残念な男性の心の叫びというような楽曲になりそうです(笑)

人に言えない秘密のひとつ
男には あるものさ
こんな夜は 時計はずして
ひとり飲む忘れ水

ここで男性も別の女性と通じていて、それを「人に言えない秘密のひとつ」と称しているのであれば、なんといいますか、似た者同士知らんがな! と言いたくなるストーリーを村下さんの美声で聴かされている感じになります。

女性のためにこそ男性は努力していた

そうでないとすれば、男性の「人に言えない秘密」とは何でしょうか。

それは「男には あるもの」ということですけど、当時のひとつの典型的な男性像を想定してみると、女性のために黙って何らかの努力や仕事を続け、頑張っていたということでしょうか。

中にはあまり美しくない仕事もあったかもしれません。

あるいは、表向きは言わなかったけれど、一般的にはなかなか実現が難しいと認識されている夢をひそかに持っていたということなのでしょうか(この線は松山行きフェリーになぞらえやすいですね)。

しかし、その秘密こそが女性が二人の関係にけじめをつける大きな要因となったのですね。

以上の記憶をたどった男性は、当時も今も同じように時を刻む「時計はずして」、自分を置いて過ぎ去る時間から逃れることを求めて「ひとり」際限なく「忘れ水」(酒)をあおります。

※「忘れ水」は、古来「草むらや野の中を人目につかないまま、絶え絶えに忘れられたように流れる水」を意味していました。
ここでは男性が「飲む」と言い切っていますので、お酒の比喩としてとらえてみました。

しかし、もう絶え絶えに細く薄くなった女性との思い出を、お酒と一緒に反芻して飲み込んでいる様子を喩えたものとみることもできそうですね。

いくら飲んでも酔えない心
背中に隠しては
歌えよ ほら 歌うよ
お前の好きな歌

いくら飲んでも、女性の表情や話し方、その声、その香り、ともに過ごした時間は男性を離れてくれません。(「忘れ水」を上記のように女性との思い出ととらえるなら当然ですね。)

酔えば男性の口をついて出てくるのが、女性の好きだった歌です。

当時を知る酒場の主人や仲間のお客たちは、男性が涙に気付かないまま歌う姿にいたたまれなくなったことでしょう。

飲んでも酔えない心
背中に隠しては
歌えよ ほら 歌うよ
お前の好きな歌

ラララ・・・

歌い続ける男性は歌詞を忘れて、最後は「ラララ・・・」とメロディだけを遠く叫んでいます。

まるでその声が女性に届くと思っているかのように。

傷心の男性の背中がすぐそこに見えるような、村下さんらしい描写力の名曲ですね。

聴きどころ

なんといっても最後の「ラララ・・・」が秀逸です。

村下さん本人が恋に破れたのかと思わせるほど感情の乗った「ラララ・・・」は、聴く側のタイミングによっては涙なしにいられません。

ライブでもたびたび披露される楽曲で、生の「ラララ・・・」も実に胸に響くものがあります。

とりわけ見事な「ラララ・・・」は、アコースティックバージョンのみを集めたアルバム「GUITAR KOZO」に収録されています。

村下さんの楽曲の中でも、というより、世に出ている楽曲(ポップス?)の中でも比較的珍しいであろう4分の3拍子のテンポなのも注目ポイントですね。

管理人の感想

初めて聴いたときにはとても場末っぽいというか、田舎っぽいような印象を持ちました。

失恋した男が酒を飲んで忘れようとするという様子も、かなりありがちであからさまなもののように感じたのですよね。

でも、聴き込むうちに、村下さんの曲によくあるようにお互い望んでいない悲恋だったのだということが分かってきて、新たな味わい方ができるようになりました。

村下さんの曲には男性と女性どちらにも非のない曲しかないと断定しても過言ではなくて、そのことから、村下さんは男女の運命を左右する大きな何かを見つめていたのではないかと管理人は勝手に感じたりもしています。

昔ギターにチャレンジしていた管理人が、比較的早期に弾けるようになったのがこの曲でした。

ぜひ、皆様も自分なりの感覚で「歌人」を聴き込んでみてくださいね

失恋したときに聴くのはやめておいたほうがいいかもしれませんよ!

歌人【歌詞全文】

早いもんだね 時が経つのは
別れて半年過ぎた
今も時々 あの店の前
通ればお前が居そうで

おかしいもんさ 変わらぬ癖
こんな淋しい夜は
お前の代わり 夜風誘って
今夜もあの日の店

いくら飲んでも酔えない心
背中に隠しては
歌えよ ほら 歌うよ
お前の好きな歌


そんなお前を愛した4年
余りに長すぎたのか
子供のような心変わりは
今も俺に出来はしない

人に言えない秘密のひとつ
男には あるものさ
こんな夜は 時計はずして
ひとり飲む忘れ水

いくら飲んでも酔えない心
背中に隠しては
歌えよ ほら 歌うよ
お前の好きな歌

飲んでも酔えない心
背中に隠しては
歌えよ ほら 歌うよ
お前の好きな歌

ラララ・・・

(作詞・作曲:村下孝蔵ー1984年4月21日)

この歌詞全文の引用は「歌人」の魅力を解説するため、および閲覧者の方々の便宜のための必要によってなされたものです。

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