稲垣潤一さん【クリスマスキャロルの頃には】歌詞の意味や世界観を解説・鑑賞!
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当記事では、稲垣潤一さんの楽曲:
【クリスマスキャロルの頃には】
の歌詞およびその世界観を解題・解説し、皆様とともに味わいたいと思います。
本楽曲は、冬が近づくとショッピングモールや喫茶店、その他いろいろな場所で耳に入るようになりますね。
稲垣潤一さんの美しい声や音楽のきれいさに着目してばかりで、その歌詞の中身まで深く読み取っていないことに個人的に気がつきましたので、ここで解題を試みようと考えました!
それでは、早速「クリスマスキャロルの頃には」の解題および鑑賞に入っていきましょう。
原則として、歌詞の順番通りに楽曲の世界は展開されていると考え、解説も歌われる順番通りにおこなっていきます。
また、歌詞全文を下部にご用意しましたので、適宜ご利用ください。
(あくまで個人的な解題・解説ですので、皆様がご自身なりに本楽曲を味わう一助となれば幸いです☆)
クリスマスキャロルが
流れる頃には
君と僕の答えもきっと
出ているだろう
クリスマスキャロルが
流れる頃には
誰を愛してるのか今は
見えなくても
解題
稲垣さん自身も「お店で流れると歌い出してしまいそうになる」と話していた、実に印象的なイントロで楽曲は始まります。
どこか光がさんざめくような、想い出が降り注ぐような感覚を覚える音とメロディです。
基本的な場面としては、お付き合いする間柄にある男性と女性が、倦怠期といってしまうと陳腐かもしれませんけれど改めて二人の関係を見直そうか、という気持ちになっているというものでしょう。
クリスマスキャロルの頃「には」というタイトルですので、まだその時期には至っておらず、冬場ど真ん中の少し前の季節とみることができますね。
楽曲における語り手は男性で、女性に対して呼びかけるような、独り言を言っているような気持ちでいることがうかがわれます。
街を二人で歩いていて、横に女性がいるのかもしれません。あるいは、以前よりは一緒に出掛ける回数が減り、一人で街へ出ているときなのかもしれません。
男性は立ち寄ったお店で聞こえてくるBGMに、ふと「クリスマスキャロルが流れる頃には」女性と自分と「の答えもきっと出ているだろう」と考えます。
周囲にはクリスマスへ向け、どんなプレゼントを恋人にあげようか検討していたり、二人で一緒に下見に来ているカップルなどの姿があります。
けれど、男性と女性の関係は冷えてきています。
もちろん、お付き合いをしているという形なので、二人で過ごす時間を取ることも多いですが、それも少し義務やルーティンのようになってきたのでした。
喧嘩が増えたというほどでもないけれど、お互いの言いたいことをきちんと言えるようになったわけでもなくて、さりとて離れられず、なんとも扱い難い二人の関係。
「クリスマスキャロルが流れる頃には」、自分も女性ももしかしたら他の人を選んでいるのかもしれない……しかしそのとき「誰を愛してるのか今は見えなくても」、今は自分たちの関係を大切にしたいとも思う。
この手を少し伸ばせば
届いていたのに
1mm何か足りない
愛のすれ違い
男性は女性と過ごした日々を振り返ります。
「この手を少し伸ばせば」、自分が本当に求めていた女性の心まで「届いていたのに」、なぜか「1mm何か足りない」。
もう少し自分の気持ちを素直に伝えればよかったのだろうか、女性の話す言葉をもっと大切に聴いてあげればよかったのだろうか。
男性は十分にそれをおこなっていたつもりでした。だから、最後のたった1mmの不足が何なのか、いくら考えても分からずに苦悩しています。
女性の側もおそらく同じような想いであるがゆえに、これを「愛のすれ違い」と呼んでいるのでしょう。
お互いをわかりすぎていて
心がよそ見できないのさ
二人はお付き合いの期間が長いのかもしれません。
したがって「お互い」の性格や性質「をわかりすぎていて」、お互いのこと以外を考えたり、楽しんだりするような形で「心がよそ見できない」のです。
男性と女性はお付き合いのはじめ、とても強烈に愛し合ったのでしょう。
それほどに大切に想い合ったゆえに、二人の目は常にお互いばかりを見て、その視線は次第にお互いを縛っていきました。
クリスマスキャロルが
聞こえる頃まで
出逢う前に戻ってもっと
自由でいよう
クリスマスキャロルが
聞こえる頃まで
何が大切なのかひとり考えたい
そこで、男性は呼びかけます。
「クリスマスキャロルが聞こえる頃まで」、お互い「出逢う前に戻っ」たつもりで過ごしてみよう。そうして「もっと自由でいよう」。
二人が出逢う前は、当然ながらお互いのことなど知らず、それぞれに一人で生きていました。
さまざまに苦労などもあったけれど、一人でもそうやって生きてこられたのだから、今、せっかくともに道を歩んでいるのにこんな気持ちでいることは見直してみる必要があるのではないか……。
街も少しずつ冷えて景色を変えていくから、自分たちも「クリスマスキャロルが聞こえる頃まで」、本当に「何が大切なのか」しばらく身体も心も離して「ひとり考えたい」。
表現は穏やかですが、男性の静かな決心が透けて見えるようです。
誰かがそばにいるのは
暖かいけれど
背中を毛布代わりに
抱き合えないから
確かに「誰かがそばにいるのは」、お互いに思いやる気持ちや体温を分け合うことができて「暖かいけれど」、今の二人は「背中を」向け合ってしまっている。
その互いの背中を「毛布代わりに抱き合えないから」、暖かさはかえってそれぞれに分離して冷えていってしまうだろう。
同じ部屋で過ごすことも、同じ食事をとることも、同じベッドで寝ることも、すべてが当たり前のことになって、二人はむしろ窮屈にさえ感じているのかもしれません。
近すぎて見えない支えは
離れてみればわかるらしい
ただ、男性は考え直します。
今の二人のように過ごすことができていること自体も、出逢う前には考えられなかったことだ。
お互いに背中を向け、窮屈に感じるときが増えたけれど、一人のときとは全く違う「近すぎて見えない支え」が必ずこの関係には生まれている。
一度「離れてみれば」その支えがお互いに対してどんな働きをしているか「わかるらしい」から、やっぱり少し距離を置いてみようか……。
クリスマスキャロルが
流れる頃には
君と僕の答えもきっと
出ているだろう
クリスマスキャロルが
流れる頃には
誰を愛してるのか今は
見えなくても
そうやってお互いの姿をお互いから隠してみれば、「クリスマスキャロルが流れる頃」まで「には」二人の「答えもきっと出ているだろう」。
お互いの大切さに気がつくかもしれないし、もしかしたらお互いが重荷でしかなくなっていたことを発見するかもしれない。
たとえそうだとしても、「クリスマスキャロルが流れる頃には 誰を愛してるのか今は見えなくても」、二人がこの関係を深く見つめる機会は今しかない。
クリスマスキャロルが
流れる頃には
どういう君と僕に
雪は降るのだろうか?
クリスマスキャロルが
流れる頃には
どういう君と僕に
雪は降るのだろうか?
最後に、男性は隣を歩く女性、あるいは別の場所で一人過ごしているであろう女性に対して思いを馳せます。
二人が少し離れて時間を過ごした後、「クリスマスキャロルが流れる頃には どういう君と僕に雪は降るのだろうか?」
つないだ手の温かさを心地よく冷ましてくれる雪が降るのだろうか。
別れを選ぶお互いの背中の芯まで冷やすような雪なのだろうか……。
今年の「クリスマスキャロルが流れる頃には」、「どういう」表情や想いを抱えた「君と僕に」、静かで白い「雪は降るのだろうか?」……
お互いへの想いがすれ違う男女のあり方を、男性の視点から美しく描いた名曲といえるでしょう。
聴きどころ
全編を通して聴きどころといってもよいと思いますが、終盤のドラム正面打ち(正確な用語が分かりません笑)は特に素敵ですね。
いかにも楽曲的にも最高潮ですし、ラストを駆け抜ける感じもすばらしいです。
稲垣さんの声についてはもはや触れる必要はないでしょう。
さっぱりと歌っているようで、この曲にはこの発声しかないというような、絶妙に雰囲気にマッチした歌声が披露されています。
管理人の感想
以前に稲垣潤一さんを取り上げた記事でも述べたのですが、管理人は稲垣さんの存在を最近まで知りませんでした。
しかし、この「クリスマスキャロルの頃には」は聞いたことがありましたので、いかに本楽曲が流行したかが分かります。
ライブ映像などを観ると、いつも「クーリース~マスキャロルがー、流れーるー頃には~」という出だしの部分の稲垣さんの声が特徴的だなあと感じます。
でも、カバーなさっている他の歌手さんたち(広瀬香美さんなどもいらっしゃいますね)の様子を見ても、やはりこの稲垣さんの形がベストなんだなあとも思ったりして、個人的に面白いです(笑)
ぜひ、皆様もご自身なりの楽しみ方で「クリスマスキャロルの頃には」をたくさんお聴きになってくださいね☆
クリスマスキャロルの頃には【歌詞全文】
クリスマスキャロルが流れる頃には 君と僕の答えもきっと出ているだろう クリスマスキャロルが流れる頃には 誰を愛してるのか今は見えなくても この手を少し伸ばせば 届いていたのに 1mm何か足りない 愛のすれ違い お互いをわかりすぎていて 心がよそ見できないのさ クリスマスキャロルが聞こえる頃まで 出逢う前に戻ってもっと自由でいよう クリスマスキャロルが聞こえる頃まで 何が大切なのかひとり考えたい 誰かがそばにいるのは 暖かいけれど 背中を毛布代わりに 抱き合えないから 近すぎて見えない支えは 離れてみればわかるらしい クリスマスキャロルが流れる頃には 君と僕の答えもきっと出ているだろう クリスマスキャロルが流れる頃には 誰を愛してるのか今は見えなくても クリスマスキャロルが流れる頃には どういう君と僕に雪は降るのだろうか? クリスマスキャロルが流れる頃には どういう君と僕に雪は降るのだろうか?
(作詞:秋元康 作曲:三井誠 編曲:清水信之ー1992年10月28日)
関連記事ーその他楽曲解説など
ここまでお読みくださってありがとうございました!
当サイトではいくつか稲垣さんを扱った記事を用意しています。ライブに参戦した報告記事などもありますので、お時間のあるときにぜひ遊びにいらしてくださいませ!
ちなみに、稲垣さんはTwitterもやっていらっしゃいます。
ご興味ある方は合わせてチェックを!(⇒@InagakiJunichi)
今回は毛色を変えて稲垣潤一さんの楽曲を解説しましたが、当サイトの楽曲解説のメインコンテンツは村下孝蔵さんなのです。
当サイトでこれまで取り上げた楽曲を掲げておきますので、村下孝蔵さんにあまり触れてこなかった方も、お時間のあるときぜひ遊びにいらしてくださいね☆
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