山本達彦さん【摩天楼ブルース】歌詞の意味や世界観を徹底解説&鑑賞!
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当記事では、山本達彦さんの代表曲と言ってもよいでしょう【摩天楼ブルース】の歌詞の意味や世界観を解題・解説し、鑑賞してまいります。
本楽曲は、管理人がひょんなことで山本達彦さんに触れるきっかけとなった曲です。
ファンの方には当たり前すぎる名曲かもしれませんけれど、ここに取り上げさせていただこうと考えました。
原則として、歌詞の順番通りに楽曲の世界は展開されていると考え、解説も歌われる順番通りにおこなっていきます。
また、歌詞全文を下部にご用意しましたので、適宜ご利用ください。
(あくまで個人的な解題・解説ですので、皆様がご自身なりに本楽曲を味わう一助となれば幸いです☆)
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それでは、早速「摩天楼ブルース」の解説に入っていきましょう!
“摩天楼ブルース”
この手で強く 抱きしめていたい
夢にするにはあまり
あまりにも惜しいのさ
解題
アルバム音源では、かすかなシンセサイザーの響きから、山本達彦さんの特徴であるきらびやかでお洒落場な和音が突入してきます。すぐに歌唱が始まるところも、どこか粋なバーで時間を過ごしているような心地にさせてくれますね。
基本的な場面設定としては、大都市の真ん中で、まさにお酒のある席で男性が女性と静かな夜を分かち合っているというところでしょうか。
男性は女性とのこれまでの関係や、他にももろもろに回顧するものがあるようです。
横の席でおそらくカクテルやワインなどに口を付けている女性を見つめながら、男性はいつまでも「この手で強く 抱きしめていたい」と望みます。
女性との関係をここで終わりにしてしまうこと、すなわちいつかは消える「夢」だったこと「にするには」、二人の関わりは美しいものでありすぎて「あまりにも惜しいのさ」。
あなたは吐息 小さく漏らすよ
閉じたブルーのまぶた
今はただ色あせてる
具体的な二人の関係性は定かではありませんけれど、全体の調子としては、女性が何か急いで判断せざるを得ない事柄を抱えていて、そのことが男性とのお付き合いにも影響するものだという感じでしょう。
女性は悲し気な横顔を見せて「吐息」を「小さく漏らす」のです。
男性はそのため息が何を意味しているのかよく分かっているので、女性の「閉じたブルーのまぶた」もかつての輝きを失って「今はただ色あせてる」のを感じます。
そんな顔を見ていれば、男性も言葉を掛けずにはいられません。
No no 一秒を惜しむように
この街はせきたてるけど
No no 流されちゃいけないのさ
この俺を信じていいさ
「No no」そうじゃない。
結婚や将来のこと、他のこと何でも「一秒を惜しむ」速さで決定をする「ように この街は」自分たちのことを「せきたてるけど」、気にする必要はない。
「No no」ちがうんだ。
そういうこの世間の理想や考え、押し付ける事々に「流されちゃいけないのさ」。大丈夫だから、こっちを見てごらん、素直な君のままで「この俺を信じていいさ」。
女性がこのように語る男性に対して、どのように応えたのかは、楽曲からは分かりません。
この手で強く 抱きしめていたい
白い素肌のぬくもり
この胸に感じてる
男性はうつむきがちな女性を見つめたまま、もう一度思います。
「この手で強く」いつまでも君のことを「抱きしめていたい」。その「白い素肌のぬくもり」は、どんなときも消えることなく「この胸に感じてる」のだから。
君の方はどうだろう? 自分の気持ちを信じることができるかい?
No no 一秒のためいきも
許されぬこの街だけど
No no 流されちゃいけないのさ
だから愛 愛だけが愛
女性は返事をしなかったのでしょうか。それとも、ここまでのやり取りの後、一夜をともに過ごしたのでしょうか。
いずれにしても、男性は女性に語り続けます。
「No no」間違っちゃいけない。
こうして一緒の時間を過ごして、たくさんのことを考え二人で「一秒のためいき」をつくことさえも「許されぬ」慌ただしい「この街だけど」、放っておこう。
「No no」もう分かってるだろう。
他の誰かが言うことや、そういうものだという習わし、さらには自分の心の移ろいにも「流されちゃいけないのさ」。
だから「愛だけが」人と人とを繋ぐ「愛」こそが大切なのさ……。
聴きどころ
まずは楽曲全体に漂う空気感が大きな聴きどころでしょう。
メロディがどれも美しくて、まろやかで、それでいて切なさも虚ろさも含んでいるのは見事です。
ライブではピアノ中心で演奏されることが多いですが、達彦さんのややブルーな歌唱が堪能できる一曲ともいえますね。
他の楽曲と同様、間奏部分のかっこよさも聴きどころです。
管理人の感想(あとがき)
山本達彦さんに入門した記事でも触れたのですけど、最初は全然よい曲だと思わなかったんですよね~~(笑)
音が小さくって……というのはこちらの機器の問題なのですけど、達彦さんの音楽の真正面に出てこない装飾感といいますか、奥行きのようなものを感じ取る能力がなかったのです。
今ではもうたっぷりと味わっていますよ!
皆様も、ご自身なりの聴き方でもっと「摩天楼ブルース」を楽しんでみてくださいね☆
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摩天楼ブルース【歌詞全文】
この手で強く 抱きしめていたい 夢にするにはあまり あまりにも惜しいのさ あなたは吐息 小さく漏らすよ 閉じたブルーのまぶた 今はただ色あせてる No no 一秒を惜しむように この街はせきたてるけど No no 流されちゃいけないのさ この俺を信じていいさ この手で強く 抱きしめていたい 白い素肌のぬくもり この胸に感じてる No no 一秒のためいきも 許されぬこの街だけど No no 流されちゃいけないのさ だから愛 愛だけが愛
(作詞:杉山政美 作曲:山本達彦 編曲:NOBODYー1982年2月21日)
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