啓発系コント【神童（シン・ダルマ）】

ようこそお越しくださいました！

今回も、新作コント【神童（シン・ダルマ）】をお送りいたします。

ややシュールな内容になっておりますので、ぜひそのお心構えでお楽しみくださいませ。

コント【神童（シン・ダルマ）】

わしも昔は神童

……いや「シン・ダルマ」なんて呼ばれたもんだ

わしにできないことなどなかったんだぞ

「シン・ダルマ」ねぇ

今じゃ全くその面影はないけどな

どんな感じだったの？

そんな凄かったの？

そうだなお前たちにも教えてやるか

まず小さい頃のわしは空を飛ぶことができた

来たよ！　ほら吹き！

だるまが飛ぶとか怪談じゃん

最後まで聞かんか

この両手に羽が生えていてな

大空に翼を広げて羽ばたいたものだ

すごいーーー！

どのくらい飛べたの？　スピードは？

まさか信じてるんじゃないよね

おう　一日中飛んでいられた

カラスと並んで飛んだりして

追いかけっこしたりしてな

いや　かけっこじゃなくて飛びっこだな

追いとびっこ

お寿司みたい～～

駄洒落かよ！！

てか万が一に万が一飛べたとして

それなら今もやって見せてよ　ほら！

愚か者め！　「シン・ダルマ」だと言っただろ

幼い頃にだけすごかった

ダルマのことをそう呼ぶのだ

ださっ！

いわゆる「元」神童ね

なんか切ない話だね

じゃあなんでもう

シン・ダルマじゃなくなったわけ？

わしが空で風を切っていると下で呼ぶ声がした

羽を旋回させて降りてみると

そこにサラリーマン風の男が立っていたのだ

そいつ驚かないのかよっ！

その男は降り立ったわしに向かって言った

「ボク、どこから来たの？　おうち教えてくれる？

その技術は本当に素晴らしいものだから

お父さんとお母さんにお話を聞きたいんだ」

ちょっと誘拐みたい

わしは男を連れて家へ帰った

道中で男は持ってきていた

どんな情報も取り出せる機械で

わしにこの世界のことをたくさん説明してくれたよ

学んだ方がいいらしい事柄もいくつも教えてくれた

セールスマンか？

英語に始まり

数学でも物理学でも経済学でも分子生物学でも

天文学でも……「学」という名前の付くものから

さまざまな習わし　風習

世界中の人々の考え方や宗教まで

もちろん全部ではないが

何でも教わった

勉強家～～！　すごいね！

家に帰ると男はわしにしたのと同じ説明を

父と母にした

父と母はいたく感動してな　わしの為に

男の持っていた機械を買うことにしてくれたのだ

やっぱセールスに来てたんだね

その人

その日以来わしは

その機械から色々な情報を学び取るのに忙しかった

空を飛んで遊ぶ時も肌身離さずに抱えていたものよ

落とさないか心配で羽も広げられなかったな

よく飛べたもんだね　それで

お前もようやく信じたか

いや信じちゃいないけど

まあ筋は通ってるというか

だけどその機械を落っことしちゃった？

いやしばらく経ったある日

機械で調べものをしていると

空を飛ぶ方法について書いてある文書が見つかった

わしはそれを読んだよ　当然むさぼるように読んだ

そんなことあるのかな

どうせその情報源の怪しいもんだけど

ま飛行機とかの話か

実に具体的に飛ぶ時の心構えや体の姿勢の取り方

どんな天気が飛ぶのに適切か

これから飛ぼうとしているものに
どんな言葉をかけてやるか

飛ぶことに関するあらゆることが書いてあった

すごいじゃん！

それだともっと飛べるようになりそうだけど

そうは行かなかった

飛び方を深く学ぶ程わしは

自分が何をしているのか分からなくなった

腕の広げ方から違うのだ

情報をマネすると飛べるような気はするが

これまでと明らかに違う

飛べる距離も速さもどんどん落ちていったよ

えーでも

飛ぶために一番いいやり方が書いてあったんでしょう

一年もすれば

わしは何をどう調べればどんな情報が得られるか

町の誰よりも詳しいほどになった　反面

わしの腕からは羽が抜けていった

もうジャンプするほどしか飛ぶことができない

そんなかわいそう

やり方がおかしかったんじゃない？

ちゃんと書いてある通りにできなかったとかさ

父も母もわしが博学になっていくことを喜んだよ

社会で役に立てる人間になるんだと

ずっと言っていたからな

うん

もう少し時間が経った頃

あの男がまた家を訪れた

機械の調子がどうかを見に来たらしい

おぅ！　まだローンが残ってるぞっ

耳をそろえて払えや！！！

わしは多くのことを学ぶことができる
機械に感謝していたから

男にも興奮気味に

自分があれ以来学習したことを語って伝えた

ねえ無視しないで？

男は静かな顔をしていった

そうですかよかったですね

けれどあなたの言ったことは

みんなこの機械で調べることができますから

教えてくれなくて結構です

んん……

父と母と話しながら

男は機械をいじっていたがわしら一家を見渡すと

「どうすればだるまが飛べなくなるのか

機械で調べることのできない
貴重なサンプルが取れました

……感謝します」

と言い残して帰っていった

うーん……それはちょっと

ひどい

その機械はどうしたの？　まだ持ってる？

ああ

今お前たちがこの文字や映像を見ている

その手に握っているだろう

何てこったこんな話もするのか　このコント！

（完）

終幕

さあ、いかがでしたか？？　

ちょっとシュールなお話だったかもしれません。

みなさんは今、羽ばたくことができますか？　それとも……？

コントとは呼べないかもしれないけれど、たまにはこういうのも、ね？　

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⇒大人の階段を上ったお話

【コント】バースデー怪談

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【コント】激辛ラーメン店！とんでもない辛さの秘密スパイス？！のたうち回る喜び。

おうじゃ

三つ子の魂いつまでも

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あなたがあなた自身であることを応援する、やさしく愛のある文章を目指しています。
現在の主なコンテンツは生活や音楽（特に村下孝蔵さん・シティポップ）。
さらに独自の視点からの「教育論」「福話術」分野を開拓中。

新潟県生まれ。
小学生時代のあだ名は「おうじゃ」。
潜在スキルは「ひょうきん」。

東京大学法学部卒🕊→→司法試験合格🍀→⇒家庭教師、お米賞味マイスター、歌詞解説・鑑賞家、福話術者🎈
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